癒らし。 大人の恋愛Special版 レビュー 

「癒らし。」には2つのシリーズがある。

1つは、もともと先行して作られていた「遠距離恋愛」。

ここで何度か紹介してきたけど、比較的若い企画女優を使うことが多いこのシリーズは「普段、すれ違いの続いている恋人たちが、久しぶりの逢瀬で愛を確認してまた別れる」というのがコンセプトになる。
「屋外デート」なんかがその設定に彩りを添えている。
街角にいる恋人たちは、それだけで十分、エロいということがこの作品の売りである。

そして、もう一つがこの「大人の恋愛」。

タイトル通り、少し人目を憚るような訳ありの恋愛をテーマにしている。
大抵は不倫設定になっていて、「いずれ別れることが前提の、忍ぶ一瞬の逢瀬」がテーマになる。内容が内容なだけに最初から何か切なさがつきまとう。

女優さんも熟女ものに出ている人がほとんど。演技も比較的うまい人が多い。
だいたい密会デートなので野外でのシーンは少なく、ほぼ室内でのやりとりが続く。
不倫を匂わす性質上、ある程度、視聴者になぜこのふたりが出逢い、愛し合うようになるのかという説明が試みられることになる。

つまり、「遠距離恋愛」シリーズと「大人の恋愛」シリーズはまるきり別物と考えていい。

自分は最初、この2つを混同して買ってしまっていた。
なので、新規のユーザーのことを考えたら、「大人の恋愛」の方のタイトルを大きくして、「癒らし。」という文字を小さくするべきなんじゃないかと思っていたりする。
間違って買うと、「なんだこれ!」ってなりかねない。
実際、アウダの固定ファンの中には、どちらか一方だけを好きという人もいるみたいだ。

癒らし。AVopen
さて、その「大人の恋愛」だが、ストーリーはいつも南★波王監督と女優との面接の中で決まっていく。
女優さんとの恋愛経験を聞いて、インスパイアされた監督がシナリオを書く。
AVに出演して人気の出るような女優さんたちなら、切ない恋愛話の一つや二つぐらいあるもんなんだろう。
それを巧みに織り込んでいく手法は、なかなかのセンスがないと書けないと思う。
実際、演じる女優さんたちは、毎回、気持ちが入り込みすぎてしまって、マジ泣きのSEXをしてくれたりする。

このシリーズ、それなりのクオリティーをたもっていて、自分は、ほぼ完成型に近づいているものだとばかり思っていた。
主観ドラマの可能性まで見えたような気がした。

だから、今回のAV openの出来には正直がっかりした。

1.暗がりでの姫野愛と夫の本番。
2.友田は職場、姫野は主婦としての日常シーン。タイトル。
3.友田真希が難病を告知される。思い悩む友田。
4.姫野とのお風呂でのイチャイチャ フェラ抜き。
5.友田が電話をかけ、会う。入院する話をする。
6.暗がりの姫野とのフェラ。
7.友田を見舞う。友田、自分は長くないことをほのめかす。
8.姫野が夫の行動に気づき、友田に会いに行く。
9.友田と残された時間を過ごすため、愛の逃避行。
10.出張と偽り、家に荷物を取りに行く。そのまま姫野を押し倒しエッチ。
11.ホテルで友田とエッチ。
12友田との生活シーン 友田とエッチ。
13.またエッチ。
14.朝、起きてみると友田、死んでる。友田の手紙。
15.夫が妻のもとに戻る。泣きながら迎える姫野。

こうやって書きだすとよくわかるが、とにかく構成が酷い。
バランスも悪い上、余計な話が多すぎる。
しかもカラミ以外の演出は、チョーど下手。
とても鑑賞に堪えうるものではない。

たとえば真希さんが「私、もう助からないかもしれないの」ってさりげなくつぶやく。
それを聞いた男が動揺して囓りかけのリンゴを思わず落としてしまう。
コレを見て

「そうか、こういうとき、男はこんな風に慌てちまうんだ…」

なんて思うだろうか?

これこそ猿芝居だ!
こんな感じで演技過剰の芝居が続き、シリアスな話なのに感情移入ができず、そのせいでカラミも嘘くさく見えてしまう。

自分は、この作品を見て確信した。

これ、カラミだけ抜き出してみると、今までのシリーズの中で実は一番よかったりするのだ。
芸達者な女優さんたちの反応もさることながら、なにより撮り方がいつもより丁寧できめ細やか。主観男優の手の動きもこれなら及第点だなぁと思った。

姫野愛 癒らし。AVopen
たとえば、この姫野さんの風呂場でのイチャイチャシーン。

えっ もうー
お風呂 あがってからね
…もう しょうがないなぁ

友田真希 癒らし。AVopen
これ←なんか、やはり友田真希はただものではない。

おっきい手
だーい好きだった
今もきっと…

アナタのこの手も 声も 私を見てくれる目も 全部好き

で、あらためて思った。
どんなにカラミが良くできていても、それをつなげる部分がお寒いものだと、作品として駄作になっちゃって、ひいてはカラミそのものもおかしく感じちゃうんだ。
結局、どんな風にカラミに入るかってとても重要なファクターなんだ。

この作品は、とにかくいろんな意味で全体的にしゃべりすぎ、表現させすぎ。
時間が190分、3時間10分もあるんだけど、そんなにはいらない。

まず構成だけど、自分なら「4に本番も入れて→5→7→10→12→13→15で友田の手紙を姫野から渡させて→8に戻り、終わり」でいいと思う。

それと男の独白テロップがかなりウザイ。
はっきり言って、これは監督の逃げだとすら思った。
今までは気にならなかったけど、この監督は、女心がわかっても、男心がわかっていないのかもしれない。
今後はテロップを使わずに、映像だけで勝負できるように苦労してもらった方がいいんじゃないだろうか。

結局、尺を長くしたら、作品の傷が思いっきり見えてしまったてことか。

でもさぁ、これをお読みの皆々様。
通常シリーズはこれよりも、もっと面白いんだよね。
南★波王監督にはさぁ、小説で言うなら、ハメットみたいなハードボイルドタッチの表現法を会得してほしいです。

不安だからくどいほど饒舌な表現をしてしまうのかな。
ユーザーはバカじゃない。
少々、言葉が足りなくても流れさえしっかりしていれば伝わるものだ。
むしろ、ユーザーの感受性を信じてほしいな。

つーか、友田さんや姫野さんに申し訳ないでしょ、これじゃ。
自分としては、ちょっと個人的な思いもあってさ、リメイクしてもらいたいぐらいだ。

ということで、このAV openで、「癒らし。 ~大人の恋愛~」を判断されたらとっても困る。
このシリーズが本来、どういう趣向のものか知りたい人は、南原香織さんの癒らし。 ~大人の恋愛~あたりをお薦めする。
友田さんのや風間さんのでもいい。

そんで、これはなかったことにしよう。
そうしよう。

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