ちょっとだけ風呂敷を拡げてみる 

最初、淫語の線引きをしようとしたとき、真っ先に思ったのはそれが他人に向けられた言葉であるかどうかだった。

もともと自分の淫語好きはおしゃべりエッチがエスカレートしていったものだった。
羞恥を目的としたイタズラが知らず知らずのうちに淫語プレイへと発展した。
すなわち淫語の強要から始まったわけだが、こういうのはエッチを重ねるうちに相手も次第に言い慣れてくる。
そしてそのうち向こうから言うようになった。そのコにすれば無意識に言ってしまった淫語なわけだが、それが自分ではとてもイヤらしく聞こえたのだった。

自分が一番聞きたいのは、そういう無意識に言い放つ淫語で、それを「痴悦淫語」と名付けてみた。
自分は嘆息まじりのつぶやくような淫語が好きなのだが、痴悦淫語には獣のような絶叫系や、ひたすら連呼するトランス系までその女性の個性によってバリエーションがあることを知った。
ただ形はどうあれ誰に向けられたわけでもない独白淫語であることは違いない。

独白も2通りあるのではないか。
一つは明らかに自分に向けられて言っている場合。これは多少自覚が伴っていなくもない。
もう一つは心の反射に近い形で出てくる場合。
体が反応したとか、精神が高揚したとか。
そういう無意識のうちに出てきた淫語を自分の中では極上のものと位置づけた。

ただそうはいっても、もともとおしゃべりしながらするエッチが好きだったわけだから、「痴悦淫語」だけでなく、相手とのやりとりからくる淫語もそれなりに興奮する。
さらに拡げればSEXがともなわない日常的な場面での淫語も好物だったりはする。
場合によっては日常会話での淫語の方が興奮するときもある。
要するに言葉が好きなのだ。
言葉遊びが好きなのだ。
そういう意識的な淫語を「痴演淫語」と名付けてみた。

「痴悦淫語」も「痴演淫語」の地続きになっている方が、より深いエロさを醸し出す。
以前、二村監督の作品には絶対他者がいないと評したのも、そのあたりを気にして見ていたことが大きい。

痴演がしっかりあってこそ、痴悦への飛翔が起こる。
これは淫語AVに限ったことではなく、AV全般に言えることだろう。また芝居や落語のような独演ものにも通じると思って、このブログでもいろいろ書いてきた。

「痴悦淫語」は比較的定義しやすかった。今でもほぼぶれずにレビューで使わせてもらっている。
問題は「痴演淫語」の方で、淫語AVを見ていくといろいろあることに気がつく。

淫語朗読、街頭淫語インタビュー、淫語レポート、淫語レッスン、淫語ナレーション、アフレコ淫語。
昔、SODでは「心の声」なんていう設定で、アフレコをあてて淫語をたくさん言わせたりした作品があった。

すべて「意識的な淫語」ということで「痴演淫語」に含めてみたものの、これももっと細分化していいのではないかと思った。
それでさらに「公的か私的か」「不特定多数、不特定少数、特定少数、特定個人」「能動、受動」。そして言葉の「冗長度」。

さらに談話の種類にはどんなモノがあるか考えた。
講演、演説、告知、朗読、討論、命令、叱正、説諭、指導、対話、会話、挨拶、告白、懇願、謝罪、つぶやき、絶叫、ボヤキ、反応。
一つひとつ吟味したところ、「あけおめこ」(挨拶)など、それぞれに淫語を入れることは可能だということがわかる。

これに淫語を言うポイント(たとえば挿入直前とか、フェラ中にいうタイミングとか)、淫語の修飾(形状、ニオイ、色とか)、さらに擬音淫語、実況淫語、淫語連呼、淫語の部位・種類(女性器、男性器、タマ系、クリ系など)、まぁいろいろ考えてはみた。

サンプルには事欠かないし、ひょっとしたら卑語ゲーで飯を食っているライター連中よりも研究しまくっているかもしれない。
でもまだちょっとまとめきれていない。

いずれはこれに非言語表現との関連(目線、口角の上げ下げ、表情、身振り・手振り)とか、音声学的なアプローチも加わえ、さらに淫語のエロスについて追求できたらと漠然と思ったりしている。
淫語の歴史も追えれば追いたいし、中・近世の文献や民俗学的な資料とかももっと漁ってみたい。
そこまでいくとAVに収まんなくなるけどね。

AVでいうなら昔から心がけていることが一つ。

「淫語AVが台詞や音声を配慮したAVであるならば本来それはどうあるべきか」

これはずっと気にしているテーマだ。

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