数字は何を語るのか その2 

数字はあくまで数字である。
それがどんな意味を持つか、どう説得力のあるストーリーが描けるかは、解釈する側の経験と想像力によるところが大きい。
したがって本来は数字だけでみて個人個人が独自に判断し、討論を重ねるべきものだとは思う。
自分がこれから書くことはあくまでもこの調査のデータを使って思ったことを書くわけで、この本での解説とは多少違っているかもしれない。

データブック NHK日本人の性行動・性意識 (データブック)データブック NHK日本人の性行動・性意識 (データブック)
(2002/03)
NHK「日本人の性」プロジェクト

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それと調査時期である1999年というともうすでに10年が経過している。
その頃と今とでは違うところもあるだろう。

たとえばこの中で、「独身男性」にくらべて「既婚男性」は性的なメディアに触れる機会が極端に減るという数字が出てくるが、これは単に家族の前でエロ本が見つかると困るということではないか。結婚を機にその手のものを処分する男性は少なからずいる。
実際、自分も今までそういうヤツからエロネタを譲り受けることが幾度となくあった。

だが今は、密かにダウンロードし、ハードディスクの片隅に置いておくぐらいのことはできる。
隠す場所に困らない。

エロ本はかさばるのだ。
子どもの教育上よろしくないのだ。
奥さんの冷ややかな目が気になるのだ。
下がりっぱなしの父親の威厳を保つためにも、そんな危険は犯せないのだ。

その点、エロ画像は足がつきにくい。

さて、「あなたは、アダルトビデオやレディースコミックなどに描かれているセックスを実際に真似してみたことがありますか」という質問だが以下のようになる。

ビデオやコミック誌の疑似体験


男性女性
16-
19
20代30代40代50代60代16-
19
20代30代40代50代60代
ある142529312418771413731
したいと思ったが
しなかった
1421263219191348131054
ない61534233465060897471757272
無記入1124412132005381923
100%=2103人

これを若年層だけでみると、「ある」もしくは「したいと思ったが、しなかった」の回答者のうち男性の締める割合が70%だった。

そこであらためて16~30代男性だけに絞り込み、「ある」もしくは「したいと思ったが、しなかった」グルーブを影響群、「ない」としたグループを非影響群にわけて見てみる。(106p-108p)

すると、「セックスの経験があると答えたのものの割合」は影響群が94.1%、非影響群が64.4%。
「初体験は17歳以下」で影響群が26.2%、非影響群が21.9%、「18歳~20歳」で影響群が43.7%、非影響群が35.4%。
「配偶者もしくは恋人がいないものの比率」は影響群12.8%、非影響群16.8%となった。

つまり影響を受けちゃっているヤツというのは、SEX強者が多いということだ。
裏を返せば、いつまでも童貞を捨てないようなメンタリティーのヤツの方がよほど健全で影響を受けにくいらしい。

繰り返そう。
童貞の方がまともなヤツが多いのだ。(たぶん)
よかったな、童貞諸君。
童貞が好きな女の子は結構いるからな。(きっと)
元七瀬かすみちゃんがそうだぞ。
彼女、「ヴァージンチンコがいい!」って言ってたぞ!(ウソじゃなければ)

これを受けて(注・七瀬かすみの意見を受けてじゃないぞ)、辻泉という院生の研究者が次のような分析をしている。

 このようなデータを見てくると、近年の報道で描かれるような"若い男性が恋人もできないのでメディアにハマる"というイメージが、少し違っているのではないかと思われてくる。むしろ明らかになったのは、影響群のほうが、パートナーにも恵まれ、セックスの経験もあり、初体験の年齢も早いという実態であった。

 だが、性についての態度では、確かに影響群のほうがよく言えばオープン、わるく言えばルーズであった。特に逸脱的なふるまいに関して、影響群のほうが許容的であるという点については、注目に値する結果だと言えよう。
 残念ながら、今回の調査は1回限りのものであって、同一個人に対して本当に影響があったのか否かを確かめるような追跡は行っていない。しかし、どんな若者がメディアに影響されていて、そして影響の薄い若者との間に、果たして性に関する考え方で違いはあるのかといったことについて、いくつかの興味深い実態が浮かび上がったものと思われる。

111p-114p

しかしここまでくると、あらためてAVを見る人間というのはどういう人たちなのか知りたいと思った。
この調査ではアダルトビデオからどんな影響が与えられるのかまではよくわからない。
そもそも「アダルトビデオやレディースコミックなどに描かれているセックス」とは「具体的になんぞや?」という話でもある。

フェラチオ イラマチオ クンニリングス 異物挿入 指マン 潮吹き フィストファック アナル姦 顔射 中出し 手コキ 足コキ パイズリ 後背位 騎乗位 駅弁 レズ ニューハーフ ゲイ 近親相姦 ロリコン 熟女 制服 女子校生 パンスト ニーソ 拘束 緊縛 羞恥 露出 人妻 陵辱 強姦 輪姦 催眠 ローション ローター 電マ 放尿 浣腸 脱糞 食糞 着衣 脱衣・・・。

今ちょっと思いつくだけでもこんだけ出てくる。

これを1つ1つ自分に当てはめて、具体的にどれができるだろうかまで想定すると、それぞれの属性についていくつかハードルがあるようだ。
「ある」と「したいと思ったが、しなかった」の間に深くて大きな溝があるのではないか。

たとえば、自分は駅弁ファックはしたことがある。
つまりこの回答では「ある」に入るわけだが、それは一度試してみただけで、なんかの流れでたまたまそうなったのである。今またそういう状況になってもやるとは思えない。
ましてやミッキー柳井の「金のシャチホコ」など最初から選択肢にない。

影響を受ける受けないというより、「やりやすい、やりにくい」というのもあるだろうし、なんの了解もなく女の人に顔射しようとしたら、あとあと面倒なことになりそうだ。そんなリスクを負ってまでやるほどのことなのだろうか。これは人によってそれぞれ距離感があるだろうが、自分ならそういう計算をしてしまう。

セックスはコミュニケーションの1つだと思うからね。
たとえそれが風俗の人相手でも考えてしまう。

しかも性技と性的趣向は一緒くたに語れない。
社会問題上のメディアの影響を考えるなら、「小児性愛」や「強姦」といったものの方が問題なわけで、そういう性的趣向は「真似」という形で一括りにして、「影響」という言葉に放り込んでしまっていいものかどうか。

そこでいくつかAVのジャンルに出てきそうなシチュをこの調査から拾ってみる。
ちょうど「ロリ・ショタ」と「近親相姦」についての調査が載っているので、これを使って見てみようと思うが、またしてもすでにじゅうぶん長いので以下次号。

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