「猫と遊郭」 画で見るその3 

今日は薄雲太夫の話を中断して、画で「猫と遊郭」を見てみることにしてみよう。(画像をクリックすると拡大する)

北尾政演画吉原傾城新美人合自筆鏡
まず最初の画は山東京伝が書いた「吉原傾城新美人合自筆鏡」(千葉市美術館蔵)。
道中を描いているこの画は遊郭の生活に精通し、自ら吉原の遊女を女房とした山東京伝ならではの画で、中央下に2匹の猫が戯れているのが確認できるだろう。(一匹、動きが犬っぽく見えるけど…)

百川子興「美人に猫図」
2枚目は江戸中後期、西暦でいうと1800年前後に活躍した画師、栄松斎長喜が書いた「美人に猫図」(東京国立博物館蔵)。
浮世絵では「美人と猫」というモチーフはよく描かれる。そういう意味では遊女に限ったことではないのだが、しかしそれにしても犬の方は猫よりも少ないように思う。
当時は今みたいに小型犬が一般的でなかったせいだろうか?

歌川広重 「浅草田甫酉の町詣」
次は広重の「浅草田甫酉の町詣」。
吉原の妓楼から浅草酉の市の様子を眺めている猫を描いた画だ。
吉原の目と鼻の先にある鷲神社は毎年11月の酉の日に酉の市がある。
この日は吉原も特別な日となっていて、ふだんは閉まっている大門以外の門もこの日ばかりは開け放たれ、遊女も鷲大明神までお参りに行ったりしたそうだ。
酉の市まで出てきた野郎は、そのまま吉原にくり出すって流れがあったらしい。

池田蕉園「秋苑」
最後は遊郭とは関係ないけれど、自分がかなり気に入っている池田蕉園の「秋苑」(福富太郎コレクション蔵)という美人画。
この池田蕉園は京にいた上村松園と比されて、「西の松園、東の蕉園」なんて言われていたらしい。

この焦園の旦那が同じ画家の池田輝方という人で、あまり詳しいことはわからないんだけど、ウィキペディアを読む限りなかなか面白い夫婦だったようだ。

この池田輝方の書いた文章が青空文庫にあったんだけど、文章の出来はともかく妙に印象深い怪談だったので、夜の堀っぱたを見るとときどき思いだしてしまう。

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