なんだかんだいって見てるわけですよ 

おととしの『グイン・サーガ』、昨年の『マリア様がみてる』に続いて、またもやシリーズものにはまってしまった。
今年は『居眠り磐音』シリーズ。

陽炎ノ辻―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英
双葉社
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でもねぇ、この作品って読んでいると「あれれっ?」と思うところがいっぱいあるんだよねー。

まず文章はそんなに上手くはない。書下ろしをしているせいもあるのかもしれないけれど、素人みたいな粗さがある。たとえば接続詞の使い方がヘンで、「だが」を続けて使ってうるさい。同じ語句を重複するとおかしいよね。

それと勉強不足なところもあって、4巻で仇討の話が出てくるんだけど、それが「自分の妻の敵」なんだよねぇ。
普通は父親とか家を継いでいる兄とかじゃないと敵討ちとして認められない。自分の奥さんや子ども、姉妹とかは家の存続と関係ないからね。いわゆる卑属は敵討ちの対象にならないはず。
にもかかわらず、殺された武家の女の旦那とその姉の「夫と義姉のふたりづれ」で敵討ちの旅に出ている。しかも藩から公認されているってことで、これは読んでいてさすがに脱糞しそうになった。
そんなのがちょこちょこある。

そもそも設定からしてパクリだらけ。
「居眠り磐音」っていうのは主人公の坂崎磐音の「居眠り剣法」からきていて、剣の構え方が「縁側で日向ぼっこをして居眠りしている年寄り猫のよう」ってところからつけられたんだけど、ほかに磐音のまわりに「春の風が吹いているよう」という表現もある。
これって平岩弓枝の『御宿かわせみ』の主人公、神林東吾の剣法のパクリだよね?
かわせみシリーズではいくども「東吾の剣は春風駘蕩のこどく」っていう表現が出てくるわけで、なんか似てるなぁと思っていたら、そのものズバリ「春風駘蕩」って言葉もこの作品には出てくるんだよねぇ。
「あんれまぁー」と思っちゃったよ。

話の筋も、陰謀に巻き込まれ脱藩して長屋住まいするとか、許嫁を藩に置いてくるとか、藤沢周平の『用心棒日月抄』の設定とかなりかぶるところがある。

この佐伯泰英って人は今までの人気時代小説の気に入ったところを混ぜあわせて書いたんだろうね。
でもこんなつぎはぎだらけで、しかも完成度の低い文章なのにそれでもやっぱり面白い。実際ものすごく売れているらしい。

ちょっと二村ヒトシの作品を見ているような気分になったよ。
完成度は低い。元ネタ探せばどっかにありそう。
でも他の人はそこまでやっていない「組み合わせの妙」なものを作ってくる。
しかもなんだかんだいってわかりやすい。
良い子は絶対真似しちゃいけないクリエイター。
ホント、調子が狂う。

二村さんの古い作品も近々、淫語マニュアルにあげようと思っている。
SOD時代のヤツね。

孤愁ノ春ー居眠り磐音江戸双紙(33) (双葉文庫)
佐伯 泰英
双葉社
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ということで『居眠り磐音』は現在7巻目に突入。
これ今年の5月に最新刊が出ていて、33巻なんだと。

まあとりあえず最新刊までは読み進めるつもり。

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