「竿に触りながらのセリフ」と「竿に向かってのセリフ」 

姫野愛の「オナニー・パラノイア」だけど、このノーマルKIMって監督はノーマークだったね。ドグマで、はじめて自分の肌合いに近い感性をもつ監督さんって感じがした。

たとえば2番目のパートで、スーツ姿の姫野愛が登場するんだけど、人形相手に体を絡めて挑発していくときに、黒いタイトスカートの下から覘くパンチラシーンがあって、なぜか股間部にモザイクがかかっている。
「あれっ」と思ってよく見るとどうやらパンスト直履きノーパンらしい。下からちょっと煽る感じの撮り方なので、あまり定かではない。ただ胸の方も、大きく開けたブラウスから愛さんのキレイな乳首が見え隠れしていたもんだから、「ノーブラってことは下もノーパンなんだろうな」と連想させてくれていた。

それがノーパンだとはっきり映し出されるのは20分後のこと。
四つん這いのマンズリシーンで、パンスト越しのマンコがアップになり、「やっぱり、そうか。ノーパンだったんだぁ!」と納得させられる。

しかも、この流れはこれだれけじゃ終わらない。

さらに10分後。姫野さんがカメラにまたがり下から見上げる感じでマン見せするシーンでは

ねぇ…おねえさん……変態だからパンツはいてないの。
ねぇ…ストッキングが…こんなに薄いからぁ…こうやって引っ張るとぉ…ね……いやらしいこんな肉の割れ目…プニプニした肉の割れ目がうーんといやらしく…浮き立って見えるでしょう…ね…

と言わせながら、パンスト破りに移行する。

つまり、「チラ見→(20分後)→四つん這いお尻からのアップ→(10分後)→言葉での表現」ということをやっていた。
これを意識的にやっているんだとしたらすごいなぁ、と思った。

ただ作品全体の流れを見てみると、クビをひねらざるえないところがあるからこの監督が、ユーザーのそういう意識の流れを計算して構成したものなのかどうかまではわからない。
マニュアルでも言及したけど、最後の飲尿オナニーパートは、オナニー作品なのにオナニーがメインだとは思えなかった。あれでは姫野愛さんの反応はオシッコの照り返しでのオナ演技でしかない。オシッコ好きが、オシッコをメインにして抜くパートだと思う。
タイトルを「オナニーパラノイア」と銘打ったからには、それはどうなんだよーって思ってしまう。
エロきゃいいのか?
監督の好みでヌケれば、流れの完成度なんていらないのか?

まぁ、この辺りがドグマクオリティーなんだけどね。
どうしてこうドグマって、言葉に対する認識が甘いんだろう。
まぁ、ドグマだけじゃないんだけどさ。

あと、マニュアルには書かなかったんだけど、淫語の言わせ方で1つだけ気になっているのは、セリフのベクトルが曖昧になっていたこと。すごい細かい話だから、マニュアルには載せずにあえてここで書くけど、個人的にはちょっとそこらあたりもヌルく感じたんだよね。

「モノを触りながらしゃべる演技」と「モノに向かってしゃべる演技」は当然、その意味が異なるはずだよね。

「モノを触りながらしゃべる演技」というのは言葉の方向性が自分の感性に寄り添って言っていることが多い。相手と会話していてもどこか自分の内面に潜った言い方になる。触っているモノ自体は演技者の体に取り込まれ、その演技空間の中では従の関係になるはず。
従の状態のままモノを使って演技空間を拡げていく。

でも「モノに向かってしゃべる演技」となれば、言葉を投げかけた段階でその「モノ」は徐々に人化しはじめるわけで、副えの対象である「モノ」が独立し一気にメインに躍り出てくる場合もある。
擬人化された性器の実況淫語がイヤらしく聞こえるのは、「演技者」と「モノ(チンコ・マンコ・タマ・アナルなど)」とそれを見せている「ユーザー」の間に三角関係を築き、「目線」や「身振り」などのやりとりを通し、そこに意識の渦を巻かせていくからで、その渦の巻き方がうまいテンポでまわればエロが増幅するんだと思う。

さらにこの「モノを触りながらしゃべる演技」と「モノに向かってしゃべる演技」をうまく使い分けながら、モノが人化したり、再びモノに戻ったりして、意識の渦がより膨らんでいけば、エロは格段に増幅されることになるだろう。
だからこだわるならこの辺りのセリフの流れ、メリハリを意識した演出なり構成が必要だと思う。

今回、姫野さんは竿や玉門を使ってとてもうまい感じでセリフを言ってくれていた。
だけどセリフの渦の巻き方がもう1つだった。言葉のベクトルが整理されずに、あっちこっちいってぶつかってしまっている印象すら受けたんだ。
もちろん彼女の言い方のテンポ自体はよかったから十分イヤラシかったんだけど、もっと意識的に導線を引っ張ってくれていたら、もっともっと、もぉーと、良い作品になったと思う。

でも、久しぶりに応援したくなるような監督を見つけたね。
それがドグマって言うのがびっくりだよ。あそこは自分的には「二村ヒトシ」しか用がないメーカーだったからさ。
まぁ、どっちにしろ「ノーマルKIM」さんには注目しておくですよ。
でも、高いんだよなぁ、ドグマ。

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