でも自分はウグイス派だけどね 

この間、久しぶりにホトトギスの声を聞いた。
清少納言はウグイスよりホトトギスの方がいい鳴き声をすると言っていたが、声のキレイさだけなら、自分はウグイスの方がクリアで聞きやすいと思う。実際「ホーホケキョ」と文字化もしやすくわかりやすい。
それにくらべてホトトギスの鳴き声はなかなかうまく書き表せない。いちおう「テッペンカケタカ」という聞きなしがあるが、自分にはどうもそう聞こえない。

淫語台詞をディクテーションしていると、よく文字化できない声が発せられていて苦労することがある。
たとえば女優さんが淫語まじりの会話中に照れ笑いして「えへっ」みたいな声がでたりするのだが、これがなかなか正確に表記できない。
こういうのをなんていうのだろう。オノマトペか。
でもたとえばマンガのオノマトペは、やはり視覚化された言語表記で人工的ですらある。現実の音からはかけ離れていたりするのではないか。

あえぎ声もそうだ。
淫語AVマニュアルには「あはん」とか「ああああ」とかオノマトペとして書いたりするが、正確には「あはんっ」なんて言っていない。実際はもっと複雑な音だ。
あえて似せて書くなら「えふぅ」とか「ぬほ」とか人によっていろいろだ。「ああああ」も人によって微妙で、「ん」と「う」、「あ」と「わ」、「え」と「お」の間をいったりきたりしている。いずれもはっきりとした言葉でないので表記できないんだが、文字で「えふぅ」なんて書くとあまりにも伝わりづらいから定型化したオノマトペで書いてみている。

この文字化しにくい音は、おもに日本語のアクセントの場所に発生する。

現在、一般に使われている日本語のアクセントのほとんどは、欧米言語と違って「強弱」ではなく「高低」だと言われている。日本語は何もアクセントをつけずに話すと、だんだん音が下がる傾向にある。最初の音は自分が一番言いやすい音域から発っせられ、それからだんだん下がっていく。そのうち発しにくい音程になると息継ぎの時にあらためて音をあげて、再び自分の発しやすい音域から発語することになる。
この息継ぎの場所というのは、たいてい文節のところにあるから、体言止めのような例外をのぞけばアクセントは助詞につくことが多い。ここにこそ日本語の話し言葉の表情がある。
助詞そのものというより、その前後の音の最後につく母音の高低や強弱、長短などに言外の意味が含まれているのだ。
「○○がぁ~」「××だったのにぃぃぃぃ」「▲▲でっ!」「□□したーい」など、特に若い女の子の助詞の使い方はユニークだ。
助詞終わりの息継ぎにあたる場所で、「あはんっ」や「ああああ」のような非言語の音が入り込んでさらに言葉に彩りを添えることがある。

この文字化できない声や助詞の高低アクセントが「一般の会話における日本語」の表情ではないかと睨んでいて、あえぎ声のいやらしさの重要なポイントではないかと思っている。

ここで「一般の会話」とあえて断ったのは「訓練されてない声での会話」という意味において、ということだ。
この非言語の声は声優さんなどでもやってないわけではない。自分もときおりエロボイスを聞いて楽しんだりするが、一色ヒカルさんなどはそういうあえぎ方がうまいし、聞き惚れてしまうことがある。
だが、それでもそのあえぎ声は実写のそれとはかなり趣が違う。どうもキレイすぎるのだ。エロゲなどで書かれたシナリオの声はやはり作られたあえぎ声の音で、不規則な部分、ある意味、汚い音がないのだ。この間更新した片瀬まこさんのあえぎ声と較べるとライブ感が足りない。
あの音のつらなりは今のところ声優さんの演技では表現できないのだ。

ただこれは実写だから必ずできるかというとそういうわけでもない。
この間の麻美ゆまちんの作品はそのあたりが乏しい。彼女は助詞のアクセントの使い方はいいので演技自体はうまい。だが逆にそれが彼女の演技臭さにつながってしまう。「僕だけの麻美ゆま」での強制淫語などはその演技臭さがでていてこのあたりを嫌う人もいるだろう。やはりキレイすぎるからだ。

だいたい美しい言い方などというと、たいていの場合、鼻濁音の使い方がどうだとか言われるわけだが、自分などは鼻濁音の美しさより牧原れい子さんの鼻声の淫語連呼の方がよほど魅力的に聞こえたりする。
訓練されているから、あるいはプロだから当然、技は優れているだろう。だがそれがエロいかとなるとそれはまた別の話だ。

高級なフランス料理より、吉野家の牛丼が勝つときもある。

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