しばらく言い訳はしないことにする 

  • [2012/03/11 06:03]

振り返れば2012年の2月は怒濤の月だった。
前半は風邪を引いて寝込んだりして辛かったが、後半はなんでこんなことをやっているの? って仕事をたくさんしはじめた。 その流れは3月になっても変わらないどころかむしろ苛烈さをましている。

いちばん大きいのはMotheRs広報の大半の仕事を引き継がなくてはならなくなったこと。
たとえば文字資料を書いたり、広報ブログを動かしたり、編プロさんや雑誌メディアの人にサンプルを送ったり、すでにその他もろもろやっている。まだ仕事を掌握し切れていないのだけれど、4月はほぼ自分の書いたものがMotheRsの作品紹介などに反映されていくことになるだろう。
今のところの懸案はMotheRsのホームページで、さまざまな問題を抱えていてほぼ使えない状態になっている。広報の仕事としてホームページが使えないのは片肺飛行しているのと変わらないので、このあたりは遅くてもゴールデンウィーク前までには解決しなくてはならない。それまではブログとTwitterで宣伝していこうと思っている。

ただ忙しいのはMotheRsのせいだけではない。

まずベイビーエンターテイメントの広報もやるようになった。
こちらは全部を任されるというわけではなく、実務レベルは他の人がやってくれるのだが、どうもベイビーという会社は宣伝をするのが下手なところがあって、深い思想性を持っているわりには言論戦をしかけずにいるところがある。実際に会って話すとKoolongさんも坂本鳴緒さんも理屈っぽいところがあるのだが、それがちゃんと伝わってこない。
そこで自分が一肌脱ぐことにした。

ベイビーの人たちは見た目がすごく個性的で、自分などは最初彼らと会ったとき「野武士集団」という単語が浮かんだぐらいなのだが、そのせいでこちらも変に身構えてしまってかなり取っつきにくかった。
ところがいったん打ち解けてみるとこんな気持ちのいい人たちもいない。朴訥な連中なのである。
余所者でしかなかった自分がいつのまにかベイビーの人たちに馴染んでしまっている。
最近は渋谷にある会社に行くのが楽しかったりするのだ。

そもそも自分は陵辱もの、イカセものは苦手だった。お世辞にも好きとは言えない。
ところがKoolongさんと知り合って、ベイビーの作品を観ていくうちにだんだん面白くなってきた。
これはこの間会った、ばば★ザ★ばびぃ監督も同意見らしいのだが、ベイビーの作品は他の陵辱・イカセモノと何かが違うのだ。自分の感じていたイヤな感じがしない。それがなんなのか今は知りたいと思うようになった。

そこでKoolong総括に頼んで「女体拷問研究所」の全作品レビューを書いていくことにした。
現在、ベイビーの主力作品は「女体拷問研究所」シリーズなわけだが、このシリーズ作を1つひとつ観ていきながら、ベイビーワールドを確認していこうというのが趣旨である。
ここに当たりをつけたのは正解だったようだ。女研のブログを書いていくことでスタッフや出演している女優さんたちが淫語魔に興味をもってくれるようになった。非常に話しやすい。
女体拷問研究所マガジン
http://blog.livedoor.jp/shin1baby-nyoken/

最近、自分は女研マと呼んでいたりする。「淫語魔が書く女研マ」である。もともと淫語魔も「淫語マニュアルで淫語マ→淫語魔」になった経緯があった。奇遇である。

それとドグマのみのる監督が淫語魔に文字稿を依頼するようになった。
それが3/19発売の「包容力と母性愛に包みこまれる淫語ビデオ 川上ゆう先生」である。
ドグマのホームページに淫語魔の名前が載った瞬間、なんだか感慨深かった。すでに来月の「淫語痴女」の文字稿依頼も来ている。

ビーバップ・みのるに関してはそのうちまた書こうと思うが、まあそれだけ信頼してくれたということだろう。家に遊びに行って6時間以上も2人っきりで話し込んでしまった。意外とウマが合うようである。

さて肝心の淫語であるが、マザーズやベイビーでいずれやるにしても淫語特化の作品はなかなか作れそうにない。今はとにかくメーカーとして成立させることが最優先である。
自分はそちらに関しては半ば諦めていたのだが、思わぬところで淫語作品の企画をやることになった。
ここでなら淫語をとことん追求することができる。そこがやらなければどこがやるのかってメーカーである。すでにそのメーカーの専属女優さんとの監督面接を終えた。
現役の単体女優さんと話をするのはこれが初めてだった。問題がなければ3月末に単体女優の淫語モノとして撮影される予定である。

だがそのメーカーで仕事をする本当の目的は淫語の単体作品を撮ることではない。
自分はとことん淫語にこだわったものが撮りたい。そうでなければ意味がない。
しかしそれをやるなら何かと制約の多い単体さんでは不都合だし、複数の女優さんを起用したいのでギャラがかかりすぎる。
それに素人淫語もいずれはやりたい。これは念願でもある。
淫語魔の名にかけて、こちらで必ず本格的な淫語作品の決着をつけるつもりである。

そのほか、細かい仕事もいくつかやっている。
WEBスナイパーではWEBラジオで官能小説について語るコーナーを持つようになった。
インターネットラジオ番組「四日市のエヴァエヴァ60分」第24回
http://sniper.jp/007radio/0071ykic_evaeva/6024.php

しかしときどき我に返ると、いったい自分はどこに向かっているのだろう? と考えることがある。とにかく泳ぎだしてしまった。今さら戻るつもりもない。自分は手で水を掻き、足をばたつかせて進むだけである。
その先に何があるのかわからない。だが今はどこかにたどり着くまで泳ぎ続けるしかない。

ここにきてようやくわかったこと。 

  • [2012/02/03 23:09]

同時進行でいろいろなことをやりだしてなかなか全部はできないんだけど、ひとつはっきりしたことがある。締め切りのあってやっている仕事は、お金が発生するし信用問題にもなるんで、なにがなんでも最優先させるんだけど、そうじゃないものに関してはどうしても後回しになってしまう。
これは認めたくないけど、自分の中でもお金の問題はちゃんとしておくべきなんだなぁとここにきてようやく思えてきた。趣味と仕事をきっちりわけないから、いろいろなところに支障をきたすわけで。

たとえば、淫語AVマニュアルを趣味ではなく、なにかの広報として使うなら確実に定期的な更新が必要なわけですよ。更新を意識すれば当然そこにへんなプレッシャーが生じるんだけど、「でも、別にこれって、更新しなくても対価が支払われるわけじゃないよなぁ」となれば、自分のペースに合わせてやって何が悪いということになる。そもそもなんでこんなことを考えなきゃいかんのかといろいろ変なことをグルグルと考えはじめてしまう。そのうちそんなことを考えている自分がいやになっていくわけですよ。
もし確実にきっちりとした更新をするんだったら、それこそライターでも雇って、その人に1本、いくら、毎週何曜日の何時まで原稿を送信してって形にするのが一番いいわけ。
それなら、まず間違いないでしょう。

もちろん淫語AVマニュアルでそんなことはする気もないし、そんなことをやっても淫語AVマニュアル自体では大してお金を生み出してくれるわけでもないので、まったくもって意味がない。そもそもからして自分のリハビリをかねた個人的な趣味サイトなわけで、誰に気兼ねがあるものか。更新しようがしまいがこっちが有料サーバーを使って勝手にやっていることなんだから、更新をたくさんしたくなればするし、できなきゃしないし、そんなの自由。そこに変な思惑を絡めるから気持ち悪い話になってくる。

これはあくまで極端な例を挙げてみたんだけど、要するにWEB上の広報なんかそうでさ。
WEBというのは有料サイトでない限りは、ただで見せるものなわけですよ。
何を見せるのかはこっちの勝手なわけだけど、企業のサイトはただ作っておけばいいってわけじゃない。作ったからには更新しないといけない。
たとえばただ部下に宣伝ブログを書けと言ったって無理なわけです。
ああいうのはむしろ出来高制みたいにして、責任でも持たせて書かせないとなかなかうまくいかんもんなんですなぁ。いっそのこと更新日を決めてそれまでに出来なかったらそいつの首を飛ばすぐらいの覚悟で人に書かせるんですよ。そうすればいいんじゃねぇーかと思い知らされたわけなんですよね。

いやー最近、マザーズともベイビーともまったく関係のないメーカーの広報さんからライターとしてのお仕事の依頼を受けましてね。そこのメーカーは確かにサイトはよく出来ている。更新もまめ。記事も充実している。
なるほど、お金をかけるとはこういうことかとようやく腑に落ちたわけよ。

あと淫語ビデオなんだけど、いろいろ考えた結果、マザーズでの淫語作品って結局痴女のアイテムどまりで終わるんだろうなって思うのね。それでそのこと自体はアウダースの雌女なんかはそうなわけだからぜんぜんかまわなくて、最初からそのつもりではあったんだけど、やっぱり淫語魔がAVに関わる以上、それではすまないんだよなぁとも思い始めていた。それに自分だって一度は「淫語娘」みたいなクレイジーなのを撮ってみたいじゃない。淫語直球ど真ん中作品っていう感じの。

でもそれがひょっとしたひょっとするかもしれない。
もちろんマザースではなく、これまたまったく違ったメーカーから。
まだ何も形になっていないからわからないけど、とりあえずいろいろ整理がついたら企画書ぐらい書いてみようかなぁと思っているんだな。ここから出たら、けっこう淫語マニアは驚くよ。
そのときは二村ヒトシ監督のもとを離れて、別の人で撮ってもらうことになるんだろうけど。

まあでもこれでむしろマザーズでは何を追求すべきかがはっきりしてくるな。といってもこれまで通りではあるんだけど、今まではなんか切替がうまくいかないんだよね。
それもこれもとにかく今までが未分化のままにしすぎていたせい。
そこはもういい加減なんとかしなきゃいけない。
もっとビジネスライクに行きますよ。

つまりはそういうことなんだ。

巡る淫語は糸車 

  • [2012/01/25 08:33]

今月の頭に、淫語スレの人にマザーズ作品の淫語カウントをしといてくれと言われて、なるほどまだ淫語のメイン作品は作れてないが、まったく言っていないわけではないので、淫語カウントをしておくべきだなぁと思って、実は全作品の淫語カウントをしているところ。
MotheRsの作品はどれも、淫語が全くないということはなく、スパイス程度には使用している。自分は淫語が全くない作品だと抜けない人なので、そこは気にしながら制作現場にいるが、今のところそこの心配はいらないようだ。とりあえずこの女優の淫語発言は聞けますよってことは最低限クリアされている。それでも種類や台詞によって天国と地獄に別れたりするので、そこはなんとか情報として出しておきたい。

本格的な淫語メインの作品に着手するには、まだまだ淫語魔に用意が足りない。
それは作品制作の力量もさることながら、MotheRsというメーカーがある程度、軌道に乗らないと本当にやりたいことができないということもある。
ビジネスである以上、シビアな話なのだ。
業界のいろいろなしがらみも少しずつわかってきた。その中で自分たちが一番やりやすい形を作っていかないといけない。
ただスタート当初に比べれば、MotheRs内での自分の発言力は増している。こちらはとにかくど素人。そう簡単に業界の人に信頼されるはずもない。
そういった意味でも何もかもがこれから。起業というのはどこの世界でも大変ということだ。みんな生活がかかっているしね。

MotheRsは本当に人手が少ない中をやっているので、広報活動も体勢を整えるのに時間がかかっている。自分も制作だけでなく広報活動の一環として、ライター仕事の方でも書きまくらないといけないと思っていた。大きなメーカーのように他のライターに任せるほどの余裕はMotheRsにはない。
そこでどうせ淫語のカウントをするのなら、そのついでにMotheRsの作品の全レビューもやってしまおうかと考えていて、ようやく先週の水曜日にリリースされている全作品を取り寄せることができた。

しかし「紅蓮のアマゾネス」を説明をしていく中で、これはベイビーエンターテイメントの「女体拷問研究所」全シリーズを見ておく必要があるなぁと思い始めた。「アマゾネス」はやはりベイビーの裏なのだ。
しかも今後、発売予定の新シリーズを考えると「女研」は徹底的に解剖分析しておく必要がある。前々からKoolong監督にもレビューの要望があったので、こちらも全作品を先週の土曜日に取り寄せた。
MotheRsは11タイトル。「女体拷問研究所」はシーズン1とシーズン2で各13タイトル。合計37タイトル。
しびれる話だ。

今、見て準備を進めているところだが、来月の頭にはMotheRsのホームページとベイビー関連のサイトに文章を定期的に書いていくつもり。

MotheRs関連以外にも淫語魔のお仕事が増えていっているので、その告知はまたそのうち。
今年はかなり忙しくなりそう。

そうそう、一昨日の月曜日にビーバップ・みのる監督の自宅を訪問した。
非常に有意義で楽しかったのだが、そのときの話は、とある媒体に書くことになっている。それがまた思いもしないところからの仕事なので、掲載されたらいずれまた。
いやあー因果は巡るなー。

淫語とは何か -5次元淫語の発見- 後編  

  • [2012/01/12 01:22]

その日はMotheRsの『オナクラ』の撮影日で、3人の女優を撮り下ろすことになっていた。
3人とも淫語台詞に関してはそれぞれがエロく言えていたが、やはり官能小説を読ませる段階でその違いが歴然となった。その中の一人が図抜けていたのだ。
他の二人はそれなりにうまくはあったのだが、やはりどこか文字に読まれているようなところがあった。だがもう一人の女優さんは間の取り方から、声のトーンから、いっぺんにその場の空気を自分色に染めていった。
彼女の方も自分で作ったエロ空間の渦に呑み込まれながら朗読していたようだ。

その後、それぞれの撮影をしていったのだが、案の定、その女優さんはものすごいパフォーマンスを見せてくれた。二村監督の言うことに対して大変高い理解力を示し、自分なりのイメージを作って淫語オナニーを披露した。
監督の言いなりになるのではなく、彼女なりの解釈で一緒にその作品を作ろうとしてくれていたことが明らかだった。

これで気をよくした自分は、その後も機会があるごとに「淫語トレーニング」で何人かの女優に朗読をさせた。
たまたま女優さんたちに恵まれ、すばらしい朗読劇をやってくれた。
そして、彼女たちのパフォーマンスは『女神降臨』でも、『男魂快楽地獄責め』でも非常にいい働きをしてくれた。

それにしても、なぜうまい下手があるのだろう?
聞いていると明らかに違いがある。それはいったいどういうことはなのだろう?
そこで自分は考えた。
そこに明らかに位相がある。4次元淫語が3次元淫語を誘導するのなら、4次元淫語を要素とした5次元淫語があってもおかしくないのではないか。

自分は当初「淫語のエキスパート」としてMotheRsに参加した。今、使っているMotheRsの名刺にも「演出・淫語監修」という肩書きがついている。
淫語のうまい女優さんは放っておいても勝手に独自の世界を築いていく。そういう人には自分の出る幕はあまりないかもしれない。
問題はあまりうまくない女優が出てきたときだ。その女優さんに淫語のすばらしさを教え、淫語女優として開眼させるのは自分の役割ではないか。

AV女優さんでも突然、淫語が上手くなる人がいる。そういう人を見ると、いったい彼女の中にどういう変化が起きたのか、不思議に思うことがあった。
そのメカニズムがわかりたい。せっかくそういうことを確認できる場所にいるのだから、言葉エッチの正体を知りたい。どうせなら淫語のエンターテイメントを極めたい。

何人かの女性に淫語官能小説を読ませてみて、そこに何かあるのはわかっていた。
しかしそれがなんなのかよくわからない。実はこうして書いている今でもわかってはいない。

昨年の12月にあの伝説の淫語女優・風見京子さんに「淫語トレーニング」をやる機会があった。
ただし撮影時間の段取りを考えると、それを決行する隙間がなかなか見つけられずにいた。最後までやるかどうか迷って、トレーニング用の原稿を渡せずにとうとう風見さんが帰る時間になってしまった。諦めきれなかった自分は、なんとか風見さんにお願いをして、無理をいってカメラを回させてもらった。
したがって原稿は、やる直前に渡すこととなり、初見で官能小説を読んでもらうことになってしまった。

他の淫語トレーニング自体は大変に貴重でいいモノを聞かせてもらったのだが、肝心の朗読になって、やはり思ったほどの成果がでなかった。
風見さんはそれなりにうまかったのだが、初見のせいでどうしてもつっかえつっかえになってしまう。さらにこちらのミスで脱字がみつかり、そこでも混乱をさせてしまった。
焦ったのは自分だ。ただでさえ憧れの女優を目の前に緊張しているのに、こちらの失態でさらにおかしなテンションになる。
風見さんには申し訳ないことをした。明らかに配慮が足りなかった。

それまでの「淫語トレーニング」はいったんは女優さんに原稿を渡してあるので、少なからず目を通してもらっている状態であった。またトレーニングを始めるときも、女優さんに官能小説の内容を軽く説明したりしていた。
ところが風見京子さんにはそれができなかった。
何の説明もない中、読ませればたとえあの風見京子をしても、自分の世界に取り込んで朗読することは無理であろう。

ある意味、これは一つの証明になっている。文脈を読み取る力が場を制する。言葉で場を制するのが、4次元淫語である。
でもどうして文脈が読み取れるのだろう?
逆にどうして文脈が読み取れない女優がいるのだろう?
そもそも文脈を読み取るということはどういうことなのだろう?

実際、風見さんはそれなりにうまい朗読をしてくれた。決して下手ではない。
風見さん以前の、「それなりにうまい女優さん」たちは、事前に原稿を渡し、ひょっとしたら控え室で少しぐらい練習をして臨んだかもしれない。
でも、それなりにうまく読むことはできても、自分独自のエロ空間をつくり上げることは、まったくできていないわけではないが、難しいようだった。。
一方、風見さんのように撮影ではこちらの要求以上のことをしてくれるような人でも、初見の原稿で何も説明を受けずに読んでしまえば、うまく読むだけにとどまってしまう。
これはまるで微分積分のような状態になっているわけで、このあたりに5次元淫語らしき位相空間があるのではないかと考えたりした。

ここでずっとモヤモヤしている。
まだなにか見落としているところが間違いなくあるのだ。
それでずっと解を求めて、共通項を探している。

淫語のうまい人は、しゃべり方がいい。
淫語のうまい人は、語彙が豊富。
淫語のうまい人は、表情が豊か。
淫語のうまい人は、妄想力がある。
淫語のうまい人は、擬音に特徴がある。
淫語のうまい人は、助詞の使い方がユニーク。
淫語のうまい人は、文字情報でオナニーができる。
淫語のうまい人は、ペットに話しかけたり、人形に話しかけたりする。
淫語のうまい人は、読書家である(あった)。
淫語のうまい人は、マンガ好き。
淫語のうまい人は、ときどきオノマトペを口にする。
淫語のうまい人は、実はオタク。

幸運なことに、今は実際にAV女優さんたちに会って確認できる。
そしてほとんど当てはまる人が多い中、ときどきまったく当てはまらない人もでてくる。しかしその人もAVを見る限り、淫語がうまい。
いくつか思うことはあるのだけれど、まだボヤキに書けるほどにはいたっていない。
むしろ、今後の撮影の中で、これらのことがわかってくることを期待したい。
というか、わかりたい。

今までは、「そんなことを考えてAVを見ているヤツは他にいない」ということでボヤキの小窓を書いてきた。
これからは「そんなことを考えてAVを作っているヤツは他にいない」ということでボヤキに書いていく。
それで最終的には理想の淫語作品を作って淫語魔は終了する。

一言、「満足した」といえば、メフィストフェレスが連れてってくれるだろう。
あるいはグレートヒェンか。
それなら、まさしくMotheRsじゃないか。

淫語とは何か -5次元淫語の発見- 中編  

  • [2012/01/11 00:01]

三次元淫語

さて淫語には発話者がいる。発話する者はどこかに向けて発話しているはずである。
自分はこれを大きく二つに分けた。すなわち明らかに誰かに聞かせるための淫語を痴演淫語、誰に対してというわけではなく思わず出てしまった淫語を痴悦淫語とした。

痴悦淫語というのは、「オマンコ気持ちいい!」といったような独白淫語だ。
独白というのは自分に対して言っているだけでもないだろう。思わず出てしまうものもある。その無意識に口からでた言葉を認識することで、自分の感情に気づかされることは大いにあり得ることだ。

言葉というのは、コミュニケーションツールであると同時に、自分の考えを明確にする道具でもある。また「自分の言葉で語る」という言い回しもあるが、実際のところ、言葉そのものは自分以外の誰かが考えたものである。つまり他者がいてはじめて存在するものであり、ほとんどの場合、子どもの頃に社会の代弁者、たとえば母親などからインストールされたものである。

したがって何かを言葉にした途端、それはいったん自分という意識体から離れ、意識の外にもう一つ別の自分を作り出すことになる。
思わず出た独白の場合、その言葉は、あるいは願望であったり、感情の吐露であったり、場合によっては暗示であったりするかもしれない。祈りの言葉、神のようなものに聞かせるためのチャンティングである場合もあるだろう。

性的な行為のときに、気持ちよくなっていってわけのわからない言葉を口にしてしまう人がいる。実際の撮影でも、女優さんにオナニー中、「おまんこ」を連呼させて理性の歯止めを飛ばした女優さんがいた。
そういうところに女の生臭さを感じ、ものすごくエロいものを見た気分になることがある。
それは淫語の醍醐味の一つである。

このように痴悦淫語も語り出せば奥が深いが、問題は痴演淫語の方だ。こちらはいろんなパターンが考えられる。
発話対象は、目の前にいる相手、特定少数、不特定少数、不特定多数。
能動であれば痴女性がでるし、受動であれば強制淫語ということになる。

また淫語の発話形式も、講演、演説、告知、朗読、討論、命令、叱責、指導、対話、会話、挨拶、告白、懇願、懺悔、つぶやき、絶叫、ボヤキ、反応とそれぞれだ。

もっとも痴悦、痴演とわけるにはわけたが、実際はかぶっている場合もある。
相手に対して言っているはずが、言いながら自分も興奮してくることがあるだろうし、思わず出てしまった言葉だったのが、相手がそれを聞いているということがわかり、ますます拍車がかかるということもあるだろう。

言葉というのものが、どこかに向けられて発せられている以上は、誰がどういうつもりで言っているのかを意識していないのはおかしい。
相手に対して言っているのか、自分に言っているのか、モノに話しかけているのか、祈りに近いものなのか、そういったことによって声のトーンやリズムは変わってくるはずで、そこを意識すれば、「おちんちん」か「チンポ」かの選択もその人のキャラなりに連動してくるはずだ。
たとえばM男性を使ったS風痴女淫語なら「なんだこれ、包茎チンポかよ。しょっぼいなぁ。なぁチンポ、こんなんで私にどうしろっていうんだよ」というかもしれないし、癒やし系の母性たっぷりな痴女なら「あらら、皮かむりのおちんちん。亀頭が隠れちゃって、かわいい。ほぉら、ゆっくり剥いていきましょうね」というかもしれない。

こういった発話者の態度を意識した淫語を3次元淫語と呼ぶことにしよう。
これは位相の違いなので、1次元淫語も2次元淫語も、3次元淫語の要素として扱われる。

四次元淫語

特にドラマものなどで顕著なのだが、たとえば教師と生徒との関係なら、それぞれがそれに見合った背景を背負っているはずである。当然、それに沿った台詞が出てこなくてはおかしい。したがってAVでもドラマ部分に関してはきっちりとした台本が用意されていることも多いが、カラミに関しては、これだけは言ってほしいというマストの台詞はあるが、あとは基本的に女優や男優のアドリブまかせになってしまうのが普通である。
もちろんFAプロやサイドビーのように、セックス中でもカット割りをして台詞をつけるところもあるが、それだとお芝居臭くなってしまうし、擬似でのカラミならまだしも、本番の場合、男優の勃ち待ちの危険性だって出てくる。そもそもカラミに台詞はどうしても必要なのかということを考えると、あまりきっちり書くことはそう多くないのかもしれない。
むしろ細かいところは、女優と男優に任せた方が自然なカラミになる。
そうなるとあとは演技力次第。

淫語作品の難しいところはこういうところで、カラミ中に淫語を言うのは必須である。
となるとどこまで監督が指示をし、どこまでマストの台詞を決めておくか、あるいはどこまで女優や男優にまかせるか、そのあたりが問題になってくる。

もっともマストの淫語の言う場所はだいたい決まっている。
冒頭導入部、性器露出時、手コキ指マン開始直前、フェラ・クンニ開始直前、マンぐり・チンぐり時、挿入直前・直後、別の体位への移行時、発射の意思確認、発射後の感想。
たとえば、もしも童貞生徒と女教師の関係なら、女教師が童貞のおちんちんに注意を向けたとき、女教師と童貞生徒の関係を意識した淫語台詞があってしかるべきだ。

しかしここだけ言えばいいかというとそうもいかない。
上手い痴女女優は、このポイントとポイントの間をうまく言葉でつないで盛り上げていくことができる。そこに差が出てくるのだ。
そのときに、自分が女教師であること、相手が童貞の生徒であることを忘れてもらっては困る。それだけでなく、いろいろなストーリーを抱いて、そこに台詞を乗せていかないと単調に聞こえてくる。

たとえば「山田君、授業中、先生の口元ばかり見てたじゃない? 知ってたのよ、先生。ねぇ、ほぉーら、女の人に咥えられてどう? おちんちん、先生のお口、気持ちいい? 本当は先生も前から山田君のおちんちん、舐めてみたかったんだぁ」ぐらいの小話をちょいちょい入れられる女優は最高である。これができないボキャブラリーの少ない女優だと聞いている方は飽きてくる。おそらく言う女優だって飽きてくるはずだ。
一方、できる女優はイメージがどんどんわいてくるのであろう。
そのリアリティーにその女優の言葉によって作られたエロ空間は渦を巻いてさらに場を盛り上げていく。優れた女優はまちがいなく言葉で場を制しているのである。

今のは痴女の例だが、これは男が女性を言葉責めする陵辱作品でも同じことだ。
下手なSMビデオの言葉責めは、男優(もしくは監督)のこういうセンスが弱いのである。

このエロ空間を読みながら、淫語を使って独自の世界に引き込んでいく。そのような淫語を4次元淫語ということにしよう。
台詞も単に「マンコが気持ちいい」とか「チンポが勃ってる」とかだけではなく、「ああいいわ、あなたのおちんぽ、すごーい、すごーく反り返ってる。ああ、すごーいステキ。ああっすごいわぁ。ああ、おまんこにぃ、先生のおまんこにあたって、先生のおまんこも溢れちゃうぐらいよぉ。ねぇ、あなたの童貞チンポ、ヌルヌルしてるとこ、ねぇ、くっついちゃってるわよ。ああステキぃ」ぐらいのことは言ってくれるはずだ。

ときどき、どういう人が淫語のうまい女優かと聞かれることがあるが、自分はいつも言葉でオナニーができる人とこたえていた。それは結局のところ、独自のエロイメージを持ち、それを言語化で出し入れできる人ということだ。言葉を使うことでイメージがはっきりしてくる。そして言葉は次の言葉を生み出す。それにともない、イメージはどんどん広がっていくのである。

そういった意味で、淫語のうまい女優は4次元淫語を体得している人だというのが、当初の自分の抱いていた仮説であった。
イメージの広がりを持つ4次元淫語は、3次元淫語を誘導するのである。
そしてこれは高次元になるごとに、どんどん淫語の特殊性が消えていき、普遍的なエロスに近づいていっているようだ。
このボヤキで淫語からエロスを考えていけるのではないかと言ってきたのはこういうことである。

以上、これらをもとにMotheRsの撮影で「淫語トレーニング」なるものを開始した。
女優さんに、まずは1次元淫語としていろいろな種類の男性器・女性器を言わせ、2次元淫語として簡単ないくつかの淫語の修飾句を言わせ、3次元淫語として実際にAVの中で言っている抜き出した台詞を言わせてみる。それがうまく言えれば、その女優さんは4次元淫語を理解していることになる。

ところが、どうもそれだけだと4次元淫語の有り様がはっきりしない。
AV女優さんというのはすごいもので、それなりに現場をこなしてきた女優はそれなりにいやらしく言えるのだ。

そこで思案の末、淫語魔自作の官能小説を読んでもらうことにした。
濡れ場の朗読がうまい女優はきっとすぐにストーリーに感情移入ができるだろう。言葉に興奮して盛り上がってくれるに違いない。
台詞とは違って、地の文章である。状況説明など客観的な視点も失ってはいない。
まずは空間を認識して、登場人物の心情をだぶらせ、その中で淫語の会話文を読ませみる。
それが迫真の言い方で読めさえすれば、まちがいなく4次元淫語の使い手と言えるだろう。そこで差がはっきりするのではないか。
そう思った。

(どうやらまだ続く)