引退するなら「癒らし。」を撮ってからにしましょう。 

  • [2009/01/11 23:59]

PCがやたら重く感じるので、クリーンインストールすることに決めた。
ついでだからHDDを増設しようかと思う。借りたDVDをあとで見ようとiso化してHDDに放り込んでおくことがあるんだけど、これが何ヶ月もそのまんまだったりする。
「バベル」なんて半年ぐらいHDDの肥やしになっておった。

クリーンインストールすると、余計なデータが消えてサッパリした気分になる。
あまりサッパリしすぎて毎回、メールアドレスとか、ATOKの辞書とかなんかしらの設定まで消してしまったりする。
去年はプログラミングの勉強とかやってたから、そのあたりでやってしまいそうだ。

昨日、アウダースのプロデューサーの人と会ってきた。
プロデューサーと言っても自分よりも10歳ぐらい年の離れた青年だ。笑うと少しあどけない顔になる。
考えてみれば、アウダースの社長からなんからみんな自分より年下だ。
自分はそういう若い人たちが作っている作品を見てゴニョゴニョしてたことになる。

アウダースとのつきあいは、淫語マニュアルを起ち上げた当初からだからもう3年になる。律儀に著作権関係でメールしたのがきっかけだった。
それからいろいろいきさつがあって、見た作品の感想を送るようになった。作品によっては口を窮めてダメ出しすることもあって、よくこれで関係がこじれないなぁと思ったりすることもたびたび。それでもこちらは妥協したくないし、なるべく根拠となるようなもの、特に自分は人を見るときにどういうところを観察するかと言うことを率直かつお世辞抜きで書き送ってきた。
時に露文の大学院も出ているラッシャーみよし監督をつかまえて、自分なりの『痴人の愛』論をぶちあげることもあったし、あえてドストエフスキーを引き合いに出すこともあった。

このボヤキもかなり自由なことを書きまくっているが、そうは言ってもここはやはり不特定多数の人に見られている公の場でもある。おのずと制約があるわけだがアウダースへのメールは手加減をしてない。
だから毎回、原稿用紙10枚ぐらいの感想を送ることになる。

もっとも聞くところによると、ユーザーの中には毎日のように電話してきては作品について熱く語る猛者もいるらしくて、自分なんかまだ奥ゆかしい方かもしれない。

「淫語魔」のHNを通して人に会うのはこれが初めてだったもんで、多少、緊張してたのかもしれない。話をいろいろ聞くつもりでいたのに、結果的にこっちがべらべら喋っていた。聞きたいことの半分も聞けなくて、ここで聞き役に回らなくてどうすんだよと少し反省した。どうも年下の男性にはべらべら喋る癖がある。
これは直していかないとね。イヤなジジイになりそうだ。

それでもいろいろ面白い話は聞けたんだけれど、差し障りもあるだろうから、感動した話を一つ。

その彼はさらさんの「癒らし。」を監督もしていて、その時の話をしてくれたんだけど、ちょうどこの作品を作るとき、美波さらさんは引退の端境期にあって、出演はほぼ不可だったそうだ。
でも彼はあきらめきれず、さらさんに手紙を書く。
この作品は「SPECIAL VERSION」で撮るつもりで、アウダースの社運をかけて取りくもうとしている。それにはどうしてもさらさんじゃなければダメだということを、彼なりに一生懸命つづった。

彼の廻りは社長をはじめほとんどがあきらめていた。手紙書いたところで彼女が翻意するとはとても思えない。

ところが美波さらさんにはちゃんと伝わったんだね。その彼の思いに出演の承諾をしたらしい。
それがさら名義の「癒らし。」
彼女の実質引退作。

あの作品は構成がかなり冗長だったけど、雰囲気はとってもいい作品だった。

もっともこのときは原稿用紙30枚ぐらいの分量のダメ出ししたんだよね。
ユーザーはそんな事情なんて知らないし、そんなことで評価するのはおかしいものね。
作品は作品の出来不出来だけで評価されるべきだ。

でもさらさんのあの笑顔は他のどんな作品だって見られなかった。
それだけは確かに伝わってきた。